高齢者のふらつき・転倒リスクを見逃さないために
- TRUST Chiba Home Medical
- 6月6日
- 読了時間: 7分
更新日:6月8日

訪問看護師が見るポイントと自宅でできる予防策
こんにちは。TRUST訪問看護ステーションです。
今回は、高齢者のふらつきや転倒のリスクを見逃さないために大切なことについてお話しします。
高齢者の転倒は、単に「転んでしまった」という出来事だけで終わらないことがあります。
転倒によって骨折や頭部外傷が起こると、入院が必要になることもあります。
また、入院や痛みをきっかけに活動量が低下し、「また転んだらどうしよう」という不安から、外出を控えるようになることもあります。
その結果、筋力やバランス力がさらに低下し、より転びやすくなることがあります。
つまり、転倒はケガだけでなく、その後の生活全体に影響する可能性があるということです。
そのため大切なのは、転んでから対応することだけではありません。
転びやすいサインに早めに気づき、転倒を予防することです。
YouTubeでも解説しています
今回の内容は、YouTubeでも解説しています。
訪問看護師がやさしく解説|高齢者の転倒・転落予防https://youtu.be/h8ts3WnrMsU
動画では、歩き方や立ち上がりの見方、自宅で注意したいポイントについて、よりわかりやすくお話ししています。
転倒はなぜ起こるのか
高齢者の転倒には、さまざまな原因があります。
大きく分けると、次の2つです。
ご本人の体の状態によるもの
生活環境によるもの
たとえば、次のような要因が転倒につながることがあります。
筋力やバランス力の低下
体調不良
脱水や栄養不足
発熱
血圧の変動
薬の影響
視力や認知機能の低下
家の中の段差やコード
滑りやすい床
夜間のトイレ移動
ひとつひとつは小さなことに見えても、いくつか重なることで転倒につながることがあります。
たとえば、夜間にトイレへ行こうとしたとき、
眠気が残っている
部屋が暗い
足元に物がある
急いでいる
このような条件が重なると、普段は問題なく歩ける方でも転倒しやすくなります。
1. 筋力やバランス力の低下
年齢を重ねると、筋力やバランス力は少しずつ低下しやすくなります。
特に、足の筋力が落ちると、つまずいたときに踏ん張る力が弱くなります。
また、姿勢を保つ力や反応する力が落ちると、体勢を崩したときに転びやすくなります。
次のような変化がある場合は注意が必要です。
最近つまずくことが増えた
歩幅が小さくなった
すり足になってきた
杖や壁につかまることが増えた
方向転換のときにふらつく
立ち上がりに時間がかかる
外出する回数が減った
こうした変化は、転倒リスクのサインになることがあります。
「年だから仕方ない」と思ってそのままにせず、早めに相談することが大切です。
2. 体調不良によるふらつき
ふらつきは、筋力だけの問題ではありません。
体調の変化によって起こることもあります。
たとえば、次のような状態です。
食事量が減っている
水分摂取量が少ない
発熱がある
眠気が強い
血圧が低い
めまいがある
いつもより元気がない
脱水や栄養不足、発熱、血圧の変動などがあると、立ち上がったときや歩き出したときにふらつきやすくなります。
特に高齢者は、自分では「大丈夫」と思っていても、体の中では負担がかかっていることがあります。
いつもと違う様子があるときは、無理に歩いたり入浴したりせず、まずは体調を確認することが大切です。
3. 薬の影響で転びやすくなることもあります
薬が原因で、ふらつきや眠気が出ることがあります。
たとえば、次のような薬を使用している場合は注意が必要です。
睡眠薬
降圧薬
利尿薬
睡眠薬では、眠気やふらつきが残ることがあります。
降圧薬では、血圧が下がりすぎると立ちくらみにつながることがあります。
利尿薬では、トイレが近くなり、急いで移動することで転倒リスクが高くなることがあります。
ただし、薬は病気の治療や体調管理のために必要なものです。
自己判断で中止したり、量を減らしたりすることは避けてください。
薬が変わったあとに、次のような変化がある場合は相談しましょう。
ふらつきが増えた
眠気が強くなった
トイレに行く回数が増えた
立ち上がるとクラッとする
このような場合は、主治医や薬剤師、訪問看護師に相談してください。
4. 家の中にも転倒しやすい場所があります
自宅は慣れた場所ですが、実は転倒が起こりやすい場所でもあります。
特に注意したいのは、次のような場所です。
玄関の段差
廊下や部屋のコード
床に置いた荷物
カーペットやマットの端
浴室や脱衣所
トイレまでの動線
夜間の暗い廊下
階段や小さな段差
高齢者の場合、「いつもの場所だから大丈夫」と思っていても、体調や筋力が少し変わるだけで危険な場所に変わることがあります。
自宅でできる対策としては、次のような工夫があります。
床に物を置かない
コードは壁際に寄せる
濡れた床はすぐに拭く
段差を目立つようにする
夜間は足元灯を使う
必要に応じて手すりを検討する
滑りにくい履物を使う
環境を整えることは、転倒予防の中でも取り組みやすい対策です。
5. 歩き方と立ち上がりを見てみましょう
転倒リスクに気づくためには、普段の歩き方や立ち上がり方を見ることが役立ちます。
歩き方のチェック
次のような様子はありませんか。
最近つまずくことが増えた
歩幅が小さくなった
すり足になっている
ふらつきながら歩いている
杖や家具、壁につかまることが増えた
急ぐとバランスを崩しやすい
立ち上がりのチェック
次のような様子はありませんか。
立ち上がるまでに時間がかかる
立ち上がった直後にふらつく
手すりやテーブルに手をつかないと立てない
方向転換でふらつく
立ち上がったあと、すぐに歩き出すと危ない
このような変化がある場合、転倒リスクが高くなっている可能性があります。
ご本人は気づきにくいこともあるため、ご家族や支援者が普段の様子を観察することも大切です。
転倒してしまったときに注意したい症状
万が一転倒してしまった場合は、「大丈夫そうだから様子を見よう」と決めつけないことが大切です。
特に、次のような場合は早めに相談してください。
頭を打った
強い痛みがある
立てない、歩けない
いつもと違ってぼんやりしている
片側の手足に力が入りにくい
ろれつが回らない
顔の片側が下がっている
吐き気や嘔吐がある
痛みが時間とともに強くなる
抗凝固薬、いわゆる血液をサラサラにする薬を飲んでいる
頭を打った場合、症状がすぐに出るとは限りません。
しばらく時間が経ってから症状が出ることもあります。
また、次のような症状が突然出た場合は注意が必要です。
片側の手足に力が入りにくい
ろれつが回らない
顔の片側が歪む
急に言葉が出にくい
このような場合は、脳卒中など緊急性の高い病気の可能性もあります。
すぐに救急車を呼ぶことも含めて対応が必要です。
転倒予防は「生活を守ること」です
転倒予防は、単に「転ばないように注意しましょう」という話ではありません。
転倒を予防することは、次のようなことにつながります。
自宅での生活を続けること
外出する機会を守ること
筋力低下を防ぐこと
家族の不安を減らすこと
入院や介護負担の増加を防ぐこと
そのためには、ご本人だけが頑張るのではなく、家族、訪問看護師、ケアマネジャー、リハビリ職、福祉用具事業所などが一緒に考えることが大切です。
訪問看護でできること
訪問看護では、転倒を防ぐために次のような視点で関わります。
血圧、脈拍、体温、酸素飽和度などの確認
脱水や栄養状態の確認
薬の変更後のふらつきや眠気の確認
歩き方や立ち上がり動作の確認
室内環境の確認
主治医や薬剤師、ケアマネジャーとの連携
必要に応じた福祉用具やリハビリの相談
次のような小さな変化でも、早めに相談することで予防につながることがあります。
最近少しふらつく
歩き方が変わってきた
薬が変わってから眠そう
トイレまでの移動が心配
家の中の段差やコードが気になる
お問い合わせ
TRUST訪問看護ステーションでは、千葉市を中心に、ご本人とご家族が住み慣れたご自宅で安心して過ごせるよう支援しています。
ふらつきや転倒が心配な方、ご自宅の環境に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
TRUST訪問看護ステーション対応エリア:千葉市を中心に対応
電話:043-441-3900 FAX:043-441-3901
お問い合わせフォーム:ホームページ内のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
参考資料
消費者庁「高齢者の事故を防ぐために」
国立長寿医療研究センター「転びやすくなる原因は?」
厚生労働省「介護予防マニュアル」
日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」
厚生労働省 広報誌「脳卒中に関する解説」



